「お葬式に着物で参列したいけれど、どんな喪服を選べば良いのか分からない」
「レンタルで喪服を用意しても、失礼にならないのではないかと不安」
急な訃報のなかで、こうしたお悩みを抱える方はとても多いと感じます。
焦りや戸惑いが大きい場面だからこそ、着るものはできるだけ迷わず、心静かに決めたいところです。
この記事では、京都の町家で育ち、幼い頃から祖母に茶道・着付け・和裁を教わってきた“和の心”のプロ、社員・椿さくらさんの視点も交えながら、着物の喪服の選び方とレンタル利用時のポイントを、順番に整理してお伝えします。
「喪服は、故人を思う“心の服”だと私は思います。難しい専門用語にとらわれ過ぎず、でも大切な場にふさわしい一着を、一緒に丁寧に整えていきましょう。」(椿さくら)
まずは、急いでいる方のために、結論からお伝えします。
1. まず押さえたい、喪服選びの「3つの軸」
着物の喪服選びで大切なのは、次の3つです。
- 格式(黒喪服か、略喪服か)
- 家紋の有無・数
- 自分の立場(喪主・親族・参列者)
この3つさえ整理できれば、選ぶべき喪服の方向性はかなり絞れると私は考えています。
急ぎの方向け・簡単チェック
- 喪主・遺族の立場
→ 黒無地・五つ紋付きの「黒喪服」を選ぶのが基本 - ご親族だが喪主ではない
→ 黒喪服(五つ紋)または三つ紋の準喪服 - 一般参列者・会社関係・友人として参列
→ ブラックフォーマルの洋装、または地味な色無地の略喪服・色喪服
レンタルで喪服を用意することは、マナーとして問題ありません。最近は、着物での喪服もレンタルで揃える方が多く、「必要なときだけ借りる」という考え方が主流になりつつあると感じます。
2. 着物の喪服には「格」がある:種類と使い分け
着物の喪服は、大きく分けて次の3つの“格”があります。
黒喪服(正喪服・第一礼装)
- 黒無地
- 染め抜き五つ紋付き
- 喪主・遺族・近親の親族が、お通夜・告別式で着用する、もっとも格式の高い装い
いわゆる「黒喪服」と呼ばれるものです。
喪主やご遺族の立場の方は、基本的にはこの黒喪服を選ぶと安心です。
「喪主やご遺族の方は、“一番格の高い装いでお見送りしたい”というお気持ちで黒喪服を選ばれることが多いと感じます。」(椿さくら)
準喪服
- 無地の三つ紋・一つ紋付き
- 喪主以外の遺族や親しい親族などが着る、少し格を落とした喪服
喪主ではないご親族の立場では、黒喪服と準喪服のどちらを選ぶか、地域やご家族の方針によっても変わります。
「親族としてきちんとしていたいが、喪主より格が上にならない範囲で」というバランス感覚が大切です。
略喪服(色喪服など)
- グレー・濃紺・深い紫などの地味な色無地
- 一つ紋または三つ紋付き
- 一般参列者、三回忌以降の法事などで着用されることが多い
一般のご参列の立場では、この略喪服や色喪服、あるいは洋装のブラックフォーマルを選ぶ方がほとんどです。
「控えめで落ち着いた印象」であれば、過度に恐れる必要はないと私は考えます。
3. 喪服の着物が選ばれる場面とは?
洋装のブラックフォーマルが主流になった今でも、着物の喪服が選ばれる場面は確かにあります。
- 着物文化が根強い地域(京都・北陸など)
- ふだんから和装の習慣があるご家庭
- 茶道・華道など和の習い事を長く続けている方
- 「最期のお別れは和装で丁寧に」というご本人やご家族の希望がある場合
「京都の町家で育ったこともあり、私自身、祖母が着物の喪服で参列していた姿が強く印象に残っています。和装には、静かに心を整えてくれる力があると感じています。」(椿さくら)
洋装が多い場でも、きちんとした喪服の着物であれば、マナー違反になることはありません。
ただし、格式が周囲より極端に高くならないよう、立場や地域性を踏まえて選ぶことが大切です。
4. 喪服の着物を選ぶときの重要ポイント
ここからは、実際に選ぶときに気をつけたいポイントを、少し細かく見ていきます。
4-1. 格式(黒喪服か略喪服か)を決める
まずは、先ほどの3つの格を踏まえて、自分の立場から選ぶべき格式を決めます。
- 喪主・その配偶者・施主:黒喪服(正喪服)
- それ以外の近親の親族:黒喪服または準喪服
- 一般参列者:略喪服・色喪服、または洋装ブラックフォーマル
よくある間違いとしては、
「一般参列の立場なのに、喪主より格の高い黒喪服で出てしまう」
というケースです。
「一番避けたいのは、“相手より一段上の格式で出てしまうこと”だと私は思います。迷われたら、少し控えめなくらいでちょうど良いです。」(椿さくら)
4-2. 家紋の数で変わる“格”
和装の礼装では、家紋の数で格式が変わります。
- 五つ紋:もっとも格式が高い正礼装
- 三つ紋:一段格を落とした準礼装
- 一つ紋:略礼装〜準礼装
「喪服は絶対に“自分の家の紋”でなければいけない」と思っている方もいますが、レンタルの喪服では、一般的な紋(通紋)が入っているものも多くあります。
「レンタルの喪服の家紋は、多くの方が着られるように一般的な紋が入っていることが多いです。マナーとして問題になることはほとんどありませんので、必要以上に気にしすぎなくて大丈夫ですよ。」(椿さくら)
4-3. 帯・小物の決まり
喪服の着物では、帯や小物の色合わせも大切です。
- 帯:黒無地の名古屋帯・袋帯
- 帯揚げ・帯締め:黒で統一
- 半襟・長襦袢・足袋:白が基本
- 草履・バッグ:黒の布製、光沢の少ないもの
華やかな帯や、金銀の入った小物、光沢の強いエナメルバッグなどは、弔事にはふさわしくありません。
4-4. 季節と生地
以前は、夏と冬で単衣・袷・薄物など季節ごとに着分けるのが一般的でした。
ただ、現代では、葬儀の日程や会場の空調状況などもあり、通年着られる生地の喪服を用意することが多くなってきたと感じます。
レンタルの場合も、通年素材の黒喪服が中心になっていることが多いので、季節による大きな差はあまり気にせず選んで良いと思います。
4-5. サイズの選び方
着物は、洋服のように「ピッタリの号数」でなくても、帯や着付けである程度調整できるのが特徴です。
それでも、以下のポイントを押さえておくと安心です。
- 身長の目安
- ヒップサイズの目安
- 裄(ゆき:首の付け根から手首まで)の長さ
「着物は、多少身長差があっても帯やおはしょりで調整しやすいです。“数センチ違うから無理だ”とあきらめる前に、サイズ目安を見ていただくと良いと思います。」(椿さくら)
5. 喪服をレンタルで選ぶときのポイント
5-1. レンタルは失礼にならない?
結論から言うと、喪服をレンタルで用意することはマナー上、まったく問題ありません。
喪服はそう頻繁に着るものではありませんし、保管には防虫・湿度管理などの手間もかかります。
そうした背景から、必要なタイミングだけレンタルを利用する方が増えているのは、ごく自然な流れだと私は感じます。
「喪服は、“いつか必要になるかも”と思いながらタンスに眠っていることも多いですよね。最近は、必要なときに必要な期間だけお借りになる方が、本当に増えています。」(椿さくら)
5-2. レンタル喪服でチェックしておきたい3つのポイント
① セット内容
- 着物だけでなく、帯・帯揚げ・帯締め・長襦袢・草履・バッグなど、どこまで揃っているか
- 自分で用意が必要なもの(肌着・足袋・タオルなど)が分かりやすく案内されているか
「届いてから足りないものに気づいた」という不安を減らすためにも、セット内容は事前にしっかり確認しておきたいところです。
② サイズ
- 対応身長の目安
- ヒップや裄のサイズ
- 体型が心配な場合、ワイドサイズ・トールサイズなどがあるか
着物レンタルのショップでは、多くの場合「身長○cm〜○cmの方向け」「洋服サイズ○号前後の方向け」といった目安が表示されています。
それを見ながら、自分の体型に近いものを選ぶと安心です。
③ 納期・配送スケジュール
- いつ手元に届くのか
- 通夜・葬儀・告別式の日程に間に合うか
- 最短での発送に対応しているか
弔事は急なことが多いため、「○日後着用に間に合うかどうか」がすぐ分かるショップは、とても心強い存在です。
「“何日後に着る予定なのか”を最初に決めて、そこから逆算して選んでいくと、スケジュールの不安がぐっと減ると感じます。」(椿さくら)
5-3. 価格相場と、安すぎる・高すぎるときの見方
黒喪服のレンタル価格は、
- フルセットで○千円台〜○万円台程度
に収まることが多い印象です(具体的な価格はショップによって変わります)。
極端に安い場合は、
- セット内容が最低限になっていないか
- 生地や状態に大きな差がないか
逆に高い場合は、
- 素材や仕立てがワンランク上なのか
- クリーニング込み・長期レンタル・オプションなどが含まれているのか
といった点を見比べると、納得感のある選び方ができると思います。
6. 立場別・シーン別の「失敗しない」喪服選び
ここまでの内容を踏まえて、よくご相談をいただくシーンごとに選び方を整理します。
喪主・施主・その配偶者
- 黒無地・五つ紋付きの黒喪服
- 帯・帯揚げ・帯締め・草履・バッグは黒で統一
- 半襟・長襦袢・足袋は白
もっとも格式の高い正喪服でのご用意が安心です。
喪主以外の遺族・親族
- 黒喪服(五つ紋)
- または三つ紋の準喪服
喪主より格上にならないように意識しながら、故人との近さや地域の慣習を踏まえて選ぶと良いと思います。
一般参列者・友人・会社関係で参列する場合
- ブラックフォーマルの洋装
- または、地味な色無地の略喪服・色喪服
「控えめ」「落ち着いた印象」でまとめることを意識すれば、大きなマナー違反にはなりません。
「どこまで格式を上げるべきかは、故人とのご縁の深さや、ご遺族との関係性によって変わります。迷われたら、“相手からどう見えるか”に意識を向けて選んでいただくと良いと私は思います。」(椿さくら)
7. レンタルと購入、どちらが良い?
喪服を用意するとき、
「レンタルにするか、購入するかで迷う」
というご相談もよくあります。
レンタルがおすすめのケース
- 喪服を着る機会がそれほど多くない
- 保管やお手入れの手間を減らしたい
- 今の体型に合わせて、その都度ジャストサイズを選びたい
- 急ぎで一式を揃えたい
購入がおすすめのケース
- ご家族の慣習として、喪服を一式持っておきたい
- 弔事・法事が多く、何度も着る予定がある
- 自分の家の紋を入れた一枚を長く大切に着たい
「“いつまでに、どれくらいの頻度で着る場面がありそうか”をイメージしていただくと、レンタルか購入かの答えが見えやすくなると感じます。」(椿さくら)
どちらか一方が絶対に正解、ということはありません。
ライフスタイルに合った選び方をしていただくのが一番だと思います。
8. 初めての喪服着物でも安心するための準備とマナー
はじめて喪服の着物を着る方は、着物そのものだけでなく、髪型やメイク、アクセサリーなども不安になりやすいと感じます。
帯のこと
帯結びそのものは、着付けをお願いする場合が多いと思いますので、細かな技法まで覚える必要はありません。
ただ、喪服では華やかな飾り帯ではなく、落ち着いた一重太鼓など、シンプルな結び方が選ばれます。
髪型・アクセサリー・メイク
- 髪型:まとめ髪やハーフアップなど、すっきりとしたスタイル
- アクセサリー:基本的には付けないか、結婚指輪程度に留める
- メイク:ナチュラルで、色味を抑えたもの
バッグ・草履・ネイル
- バッグ:黒の布製で、光沢の少ないもの
- 草履:黒系で、金銀の入っていないもの
- ネイル:派手なカラーやラメは控え、落ち着いたトーンに整えるかオフしておく
「見た目の華やかさよりも、“静かな佇まい”を大切にしていただくと、自然とふさわしい装いになると私は感じます。」(椿さくら)
9. 喪服の着物を用意する前にチェックしたい「5つの質問」
最後に、喪服選びで迷ったときに立ち返っていただきたい質問をまとめます。
- 自分の立場は?
喪主・遺族・親族・一般参列者のどれか。 - 場面は?
お通夜・葬儀・告別式・初七日・法事など、どの場面に出席するのか。 - 格式は合っているか?
黒喪服(五つ紋)か、三つ紋・一つ紋の準喪服か、色喪服・略喪服か。 - 帯・小物は落ち着いた組み合わせになっているか?
黒を基本に、白との組み合わせで整えられているか。 - レンタルの場合、
セット内容・サイズ・納期が自分の状況に合っているか?
「この5つに“はい”と答えられれば、大きくマナーを外すことはほとんどないと私は思います。あとは、故人を思う静かな気持ちで袖を通していただくことが、何よりの供養になるのではないでしょうか。」(椿さくら)
10. まとめ:自分に合う喪服の種類が分かったら、次は「一式」を選ぶ段階へ
ここまで、
- 喪服の着物の種類と格式
- 立場別・シーン別の選び方
- 家紋・帯・小物の基本マナー
- レンタルで選ぶときのポイント
- 初めての方が不安になりやすい点と、その対処法
を整理してきました。
あとは、あなたの「立場」と「場面」に合う喪服の“型”が見えてきたら、実際にどの一式を選ぶかという段階に進むだけです。
- 黒喪服(五つ紋)をレンタルしたい方
- 法事向きの、少し控えめな喪服を探している方
- 身長や体型に合わせて、自分に合うサイズ別に喪服を選びたい方
こうした方には、用途別・サイズ別に喪服が整理された着物レンタルのカテゴリーページを活用していただくと、候補がぐっと絞り込みやすくなります。
→→喪服レンタルのページはこちらから
といったリンクから進めるようになっているページであれば、この記事で整理した内容と照らし合わせながら、落ち着いて一着を選べるはずです。
「“自分に合う格の喪服さえ分かれば、あとは選ぶだけ”という状態になっていれば、この文章が少しでもお役に立てたのではないかと感じます。心の負担が、ほんの少しでも軽くなっていれば嬉しいです。」(椿さくら)
喪服選びに迷われている方は、ぜひ一度、自分の立場と場面を整理しながら、用途別に探せる喪服レンタルの一覧ページもチェックしてみてください。
→→喪服レンタルのページはこちらから
→→【葬儀・法事特集】着物・衣装レンタルの特集ページはこちらから
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