お受験の情報を集め始めると、必ずと言っていいほど出てくるのが「服装」「お受験スーツ」「母親の紺のワンピース」といった言葉だと思います。
普段はそこまで服装に厳しくないのに、お受験となると急に「正解の服装は?」「どこまできちんとすべき?」と不安になる方がとても多いです。
私は、京都の町家で育ち、祖母から茶道や着付けを教わりながら育ちました。
社会人になってからはフォーマル衣装や着物のコーディネートに長く関わり、今では毎年多くのご家庭から、お受験や行事の衣装についてご相談をいただいています。
その中で感じているのは、
- なぜお受験に衣装を着るのか
- お受験に衣装を着る意味は何なのか
ここがしっかり腑に落ちると、服装選びの迷いが一気に減る、ということです。
この記事では、私自身の経験と、お客様から伺ってきたエピソードを交えながら、
「なぜお受験に衣装を着るのか」「お受験に衣装を着る意味」について、できるだけ具体的にお話ししていきます。
最後には、実際のフォーマル衣装を一覧で見られるページへの案内もご用意しますので、
考え方だけでなく「じゃあ、うちはどんな衣装が合いそうか」をイメージするところまで進んでいただけたらうれしいです。
お受験で衣装が求められる背景
日本の“教育文化”としてのフォーマル
日本には「ハレとケ」という考え方があります。
日常(ケ)とは少し違う、節目の日(ハレ)には、きちんとした装いをする。
入学式、卒業式、七五三、成人式…どれもそうですね。
お受験も、ある意味で「家族にとっての大きな節目」です。
学校側から見ても、「これから一緒に子どもさんを育てていけるご家庭かどうか」を確かめる場です。
そのため、日常のままではなく、少し背筋を伸ばしたフォーマルな装いが求められやすいのだと思います。
服装は「家庭のしつけ」を映す鏡
私がお受験の衣装相談をお受けしていて感じるのは、服装にはそのご家庭の「日々の暮らし方」が表れやすい、ということです。
シワがなく、サイズの合った服。
派手すぎず、かといってヨレヨレでもない、清潔な靴。
こういった小さな積み重ねに、日々の生活の様子や、子どもへの声かけがにじみ出ると感じます。
もちろん、服装だけでそのご家庭のすべてが分かるわけではありません。
それでも、「大切な日に向けて、家族で準備してきたかどうか」という姿勢は、衣装に反映されやすいのだと思います。
なぜ“普段着ではダメなのか”
「普段もきちんとしているから、いつもの服でいいのでは?」という声もよく伺います。
実際に、普段からきれいめなカジュアルで過ごされているご家庭も多いです。
ただ、お受験は「学校と初めて正式に向き合う日」です。
ここでの服装は、いわば
「わたしたち家族は、こういう姿勢で子どもに向き合っています」
という、学校への最初のメッセージになると感じます。
普段とまったく違う“よそ行きすぎる服”である必要はありませんが、
日常より一段階フォーマル寄りに整えることで、学校側への敬意や真剣さを、分かりやすく示すことができると思います。
学校側が服装に注目する意図
面接官は、もちろん服装だけを見ているわけではありません。
とはいえ、短い面接時間の中で、ご家庭の雰囲気を感じ取るうえで、服装は初めの手がかりになりやすいと感じます。
- 清潔感はあるか
- 過度に華美ではないか
- 家族で方向性がそろっているか
こうした点から、「このご家庭は、うちの学校の雰囲気に合いそうか」を見ているのだと思います。
お受験に衣装を着るのはなぜ?3つの大きな理由
ここからは、「なぜそこまで衣装が話題になるのか?」という根本の部分を、3つの観点から整理してみます。
第一印象で「家庭の雰囲気」が伝わるから
面接室の扉を開けた瞬間、まだ一言も話していないうちから、
ご家庭の雰囲気はある程度伝わっていると感じます。
「面接室の扉が開いた瞬間に、『あ、きちんとしたご家庭だな』という印象は、言葉より先に服装から伝わることが多いです。」
私は、こうした場面を何度も見てきました。
派手さではなく、「落ち着き」「清潔感」「バランス」。
このあたりが整っているご家庭は、第一印象の段階で、面接官にも安心感を与えやすいのではないかと思います。
生活習慣やしつけが“にじみ出る”から
衣装そのものよりも、私が大事だと感じるのは「整え方」です。
- アイロンがきちんとかかったブラウス
- サイズの合ったジャケットやスカート
- かかとがすり減っていない靴
こういった細かな部分に、普段からの「ものを大切にする姿勢」や「子どもへの声かけの仕方」が表れているように感じます。
「アイロンがきちんとかかったブラウスや、サイズの合った靴を見ると、日常の暮らし方やお子さまへの声かけが丁寧なのだろうな、と感じます。」
完全に“正解の形”はないとしても、
こうした積み重ねが、面接官の目にも自然と届くのだと思います。
学校との“相性”を確認する場でもあるから
学校ごとに、雰囲気や大切にしている価値観は違います。
- やや華やかなファッションの保護者が多い学校
- ぐっと落ち着いた装いが中心の学校
説明会や見学に足を運ぶと、なんとなくその違いを感じる方も多いと思います。
お受験の衣装は、その学校の空気感に、家庭側がどう歩み寄るか、という一つの表現でもあります。
「すべて学校に合わせる」というより、
「この学校と、わたしたち家族は相性が良さそうかどうか」
を、服装を通しても確かめ合っているように思います。
面接官が服装から見ているポイント
さて、具体的に面接官は何を見ているのでしょうか。
私が多くの保護者の方と話してきた経験から、ポイントを整理してみます。
清潔感・落ち着き・生活リズム
- シワや汚れがないか
- 髪型や靴まで含めて、全体に整っているか
- 色使いが落ち着いているか
こうした要素から、日々の生活リズムや、生活習慣の丁寧さを感じ取っているのだと思います。
家庭の価値観(派手すぎない/堅実さ)
過度に華美なブランド物で固めるというより、
「控えめだけれど質感の良いもの」を選ばれるご家庭も多いです。
そこには、
- 見栄よりも中身を大切にする
- 子どもに対しても、落ち着いた価値観を伝えていきたい
というメッセージが込められているように感じます。
子どもの育ってきた環境の“にじみ出方”
衣装は、子どもの表情やしぐさとも関係してきます。
普段まったく着たことのないスタイルで固めてしまうと、
当日、動きにくさや違和感から、落ち着かなくなるお子さまもいます。
「お子さまが普段まったく着ないタイプの服で、当日とても落ち着かなくなってしまった…というご相談もありました。『きちんと感』と同じくらい、『お子さまが安心できるかどうか』も大切です。」
私は、お子さまがその服を着て「ほっとできるかどうか」も、大切なポイントだと感じています。
家族全員で衣装を揃える意味
「子どもだけきちんとしていればよいのでは?」という質問もよくいただきます。
けれど、私は家族全員で方向性をそろえることに、大きな意味があると思っています。
子どもに「これは大切な日なんだ」と伝える
父母もいつもより少しフォーマルに装うことで、
子どもにも「今日は家族みんなで頑張る日なんだ」と伝わりやすくなります。
その感覚があると、お子さまも「自分だけが頑張らされている」のではなく、
「家族みんなで一緒に挑戦している」と感じやすいのではないかと思います。
家族写真としても残る
お受験のタイミングで、家族写真を撮影されるご家庭も多いです。
願書に添付する写真が必要な場合もありますし、あとで振り返って見返す方も多いです。
「お受験の日の家族写真を、あとになってお子さまと一緒に見返すご家庭も多いです。『この時、家族で頑張ったね』と話せるような一枚になるよう、衣装を整える価値は大きいと思います。」
その一枚に合うように、家族で色味やテイストをそろえておくと、全体の印象もぐっと良くなると思います。
父母の服装が子どもの行動に影響する理由
大人が落ち着いた装いをしていると、自然と声のトーンや所作も静かになります。
その空気が、お子さまにも伝わります。
逆に、大人の服装や持ち物が落ち着かないと、
「今日は特別な場なのに、どこかそわそわした雰囲気」になってしまうこともあります。
衣装は、単に見た目の問題だけでなく、当日の心の持ち方にもつながっていると感じます。
お受験で選ばれている定番衣装(母・父・子ども)
ここからは、具体的にどのような衣装が選ばれているのかを整理していきます。
母親:濃紺ワンピース/セレモニースーツ
お受験で特に多いのは、
- 濃紺のワンピース+ジャケット
- 濃紺やグレー系のセレモニースーツ
といったスタイルです。
柄は控えめか無地。
アクセサリーは小さめのパールネックレスとイヤリング程度が多いです。
顔映りを考えると、真っ黒よりも、ほんの少しだけ柔らかい濃紺やダークネイビーの方が、
優しい印象になりやすいと感じます。
父親:紺・グレー無地のスーツ
お父さまは、
- 紺またはチャコールグレーの無地スーツ
- シャツは白
- ネクタイは、無地か控えめなストライプ
このあたりが定番です。
ビジネススーツと同じでも問題はないのですが、
あまりに派手な色柄のネクタイや、カジュアルなジャケットスタイルは避けるご家庭が多いと感じます。
子ども:紺系の上品なフォーマル
お子さまは、
- 紺ブレザー+半ズボンまたはスカート
- 紺やグレーのワンピース+ボレロ
- 白シャツ・ブラウス+落ち着いた色のボトムス
などが一般的です。
靴は黒または紺のフォーマルシューズ。
靴下は白か紺の無地で、キャラクター柄や派手なラインは避けることが多いです。
派手すぎない/地味すぎない“ちょうど良さ”とは
色味を抑えめにすると、どうしても「地味すぎるのでは?」と不安になる方もいます。
私の印象としては、
「写真に撮ったとき、顔がきちんと明るく見えるかどうか」
を一つの基準にされると、ちょうど良いバランスになりやすいと感じます。
暗い色でも、インナーの白や、ほんのり明るいスカーフなどで抜け感を作ると、
“きちんとしているけれど、どこか柔らかい”雰囲気になります。
お受験で着物を選ぶ家庭はいる?(専門家視点)
次に、お受験で「着物」を選ぶことについても触れておきます。
私は着物のご相談も多くお受けしてきましたが、
お受験の場で着物を選ばれるお母さまも、少数派ながらいらっしゃいます。
面接向けの上品な色無地・訪問着
お受験にふさわしいのは、
- 控えめな色無地
- 柔らかい色合いの訪問着
といった、落ち着いた格の着物だと感じます。
はっきりした古典柄や、きらきらした金彩がたっぷりの華やかな訪問着は、
どうしても「お祝いの席」向きの印象が強くなり、お受験の場では少し浮いてしまう可能性があります。
“伝統”と“きちんと感”が伝わる良さ
着物には、「きちんと整えました」というメッセージが、とても伝わりやすい側面があります。
きれいに畳まれたおはしょりや、整った衿元。
帯の位置や、裾の長さ。
こうしたところに、日本的な「丁寧さ」「慎み深さ」が表れやすいと感じます。
「着物は、きちんと選べば決して“目立ちすぎる装い”ではありません。控えめな色無地や落ち着いた訪問着は、むしろ静かな上品さを感じていただける場面も多いです。」
私はこのように感じています。
派手すぎる柄は避けるべき理由
着物を選ぶ際に注意したいのは、「柄の強さ」と「色のコントラスト」です。
- 大柄すぎる花柄や熨斗柄
- コントラストが強い多色使い
- 金銀の箔が大きく入っているもの
こうした着物は、おめでたい席や華やかなパーティーにはとても素敵ですが、
お受験の場では、どうしても主張が強くなりやすいと感じます。
面接という緊張の場で着物が持つ効果
一方で、着物には「自分の心を整える力」もあると感じます。
帯を締めることで背筋が伸び、自然と姿勢も整います。
その感覚が、緊張の場面で、落ち着きを保つ助けになる方も多いです。
ただ、草履での移動や、慣れない所作が不安な方もいらっしゃいます。
その場合は、無理に着物にこだわらず、洋装で「落ち着いたきちんと感」を目指す方が、
ご本人にとっては安心かもしれないと感じます。
失敗しやすいNG例
ここで、お受験の衣装で「これは避けた方が安心」という例も挙げておきます。
- 露出の多い服(ノースリーブ、深いVネックなど)
- 原色や蛍光色など、目立ちすぎる明るい色
- ラメやスパンコール、ビジューがたくさんついた服
- 大きなブランドロゴが目立つデザイン
- シワシワのジャケットや、明らかにサイズの合っていないスーツ
- ヒールの高すぎるパンプス、歩きにくい靴
- 子どものキャラクター柄ソックスやスニーカー
「“普段はこれで褒められるから”と選んだ華やかなワンピースが、お受験の場では少し浮いてしまう…ということもあります。『日常で素敵』と『お受験の場にふさわしい』は、少し基準が違うと考えていただくと選びやすくなります。」
私は、お客様との会話の中で何度もこの話をしてきました。
恐る恐る控えめにしすぎる必要はありませんが、
「学校という公の場」「初めて学校と向き合う日」という視点を、一度挟んで選んでいただくと良いバランスになると感じます。
お受験衣装は購入?レンタル?それぞれの選び方
次に、衣装をどう準備するかについてです。
大きく分けると、「購入」と「レンタル」の2つの選択肢があります。
購入のメリット・デメリット
メリットとしては、
- きょうだいで着回せる可能性がある
- 入園式・入学式など、他の行事でも着用できる
- 自宅でじっくりサイズ調整ができる
といった点が挙げられます。
一方で、
- 一度しか使わない可能性がある
- 保管スペースが必要
- 体型や好みが変わると、次の出番がない
といったデメリットを感じる方も多いです。
レンタルのメリット・デメリット
レンタルの良さは、
- 一度きりの場面でも、質の良いフォーマルを選びやすい
- サイズやデザインのバリエーションが豊富
- 保管・クリーニングの心配がいらない
といった点だと思います。
「特にお受験シーズンは、フォーマル衣装のレンタルを選ばれるご家庭も多いです。『次の予定ではまた違う服装が必要になるかもしれない』という方には、レンタルは柔軟な選択肢になります。」
ネットレンタルであれば、ご自宅にいながら、母・父・子どもの衣装を一度に見比べることもできます。
お受験の日程に合わせて、必要な期間だけ利用できるのも、忙しいご家庭には便利だと感じます。
ご家庭の考え方や、今後の行事の予定に合わせて、購入とレンタルを上手に組み合わせていただくのが良いと思います。
お受験の準備を始める方へ:衣装選びは“計画”が大切
最後に、衣装準備のスケジュール感についても触れておきます。
半年前〜3か月前:情報収集の時期
- 学校説明会・見学会に参加する
- 先輩ママ・パパの話を聞く
- 学校の雰囲気を実際に見ておく
この時期に、周りの保護者の服装もさりげなくチェックしておくと、
「この学校ではどれくらいのフォーマル度が主流か」が見えてくると思います。
3か月前〜1か月前:衣装の方向性を決める時期
- 家族で衣装の方向性を話し合う
- 購入かレンタルかを決める
- 実際に候補を絞っていく
ネットレンタルを利用する場合も、この時期に一度ラインナップを見ておくと安心です。
サイズ表や着用イメージ写真をしっかり確認しておくと、当日慌てずにすむと思います。
1か月前〜当日:最終チェックの時期
- 靴・靴下・バッグなど小物を整える
- 当日の動線や天候を想定して、コートや防寒具も準備する
- 子どもと一度、同じ時間帯・似たシチュエーションで着てみる
「直前になるほど、衣装選びは『とにかく間に合うもの』になってしまいがちです。できれば季節が同じ頃のタイミングで、一度同じ時間帯に着てみると安心ですよ。」
私は、少し余裕を持った準備が、お子さまの安心にもつながると感じています。
まとめ:衣装は“家庭のメッセージ”を伝える大切な要素
ここまで、「なぜお受験に衣装を着るのか」「お受験に衣装を着る意味」についてお話ししてきました。
- お受験は、家族にとっての大切な節目であること
- 衣装には、家庭の価値観や日々の暮らし方がにじみ出ること
- 面接官は、清潔感・落ち着き・家族の一体感を見ていること
- 完璧な“正解の服装”よりも、そのご家庭らしい「落ち着いたきちんと感」が大切であること
お受験の衣装は、合否を決める“魔法の装備”ではないと思います。
けれど私は、
「お受験の衣装は、合否を左右する“武装”ではなく、『わたしたち家族は、こんなふうに子どもと向き合ってきました』というささやかなメッセージだと、私は思っています。どうか、ご家族らしさを大切にしながら、安心して当日を迎えてくださいね。」
とお伝えしたいです。
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