「初節句って、そもそもどういう日なんだろう?」
「生まれたばかりの赤ちゃんに、ここまでしてあげる必要があるのかな?」
七五三や成人式と比べると、初節句は少しイメージがつきにくい行事だと思います。
特に、はじめてのお子さまの場合は
- 何を準備したらいいのか
- どこまでやるのが一般的なのか
- 着物や人形にどんな意味があるのか
分からないことだらけで、インターネットで「なぜ初節句を祝うのか」「初節句の意味」と検索される方も多いと感じます。
この記事では、京都の町家で育ち、祖母から茶道や着付けを学んできた着物アドバイザーの私「椿さくら」が、初節句のいわれと意味、そして着物を着せる理由について、できるだけ分かりやすくお話ししていきます。
あくまで私自身の経験や、これまで多くのご家族の初節句をお手伝いしてきた立場からの見解にはなりますが、初節句を前に不安になっている方のヒントになればうれしいです。
初節句とは?分かりやすい基本の意味
五節句と赤ちゃんの健やかな成長を願う行事
初節句とは、生まれた赤ちゃんが初めて迎える節句の日に、その成長を願ってお祝いをすることを指します。
日本には古くから「五節句」と呼ばれる節目の日があり、季節の変わり目に邪気が入りやすいと考えられていたため、そのたびに神さまや自然に感謝し、無病息災を祈ってきた歴史があります。
私の祖母も、節句のたびに「季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期でもあるからね」と言って、食事や飾りに気を配っていました。
そうした考え方が受け継がれ、赤ちゃんの初めての節句を特別にお祝いする「初節句」という形になっているのだと思います。
初めて迎える“節句の日”のお祝いをする理由
では、なぜ「初めての節句」だけを特別に祝うのでしょうか。
私は、そこには次の二つの意味があると考えています。
一つは、「無事にここまで育ってくれてありがとう」という感謝の気持ち。
もう一つは、「これから先も健やかに成長してほしい」という願いです。
生まれてから初節句までの数か月は、赤ちゃんにとってもご家族にとっても、あっという間で、でもとても濃い時間だと思います。
その最初の節目として、初節句をきちんとお祝いすることで、「ここまで本当によく頑張ったね」とご家族自身の気持ちを整える役割もあると感じています。
なぜ初節句を祝うのか
厄払いと魔除けの意味
「なぜ初節句を祝うのか」と聞かれたとき、まずお伝えしたいのは「厄払い」と「魔除け」の意味です。
昔の人は、目に見えない災いや病気から子どもを守るために、節句の日に特別な料理や飾り物を用意してきました。
京都の実家でも、祖母が雛人形を出しながら
「人形にはね、子どもの代わりに災いを受け止めてくれる力があると言われているんよ」
と、静かに教えてくれたことを今でもよく覚えています。
その言葉が、私が着物や和の行事を大切にしたいと思うきっかけになったように感じています。
人形を飾る文化と願い
初節句には、女の子なら雛人形、男の子なら五月人形や兜を飾るご家庭が多いと思います。
これらの人形には、
- 災いを身代わりに受け止める
- 子どもの将来の姿を映す
といった意味が込められてきました。
雛人形の穏やかな表情や、立派な兜の姿に、ご両親が「こんなふうに育ってほしい」と未来の姿を重ねる。
その気持ちが、人形を飾るという習慣に現れているのだと感じます。
感謝と成長祈願の行事としての歴史
初節句は、決して派手なイベントである必要はありません。
本来は、ささやかな食事や飾りを通して
- 生まれてきてくれたことへの感謝
- ここまで育ってくれたことへの感謝
- これからの健康と幸せを願う気持ち
を形にする行事です。
現代ではスタジオ撮影や豪華な飾りが注目されがちですが、私は「どれだけ立派にするか」よりも「家族の気持ちがこもっているか」の方がずっと大切だと思います。
女の子・男の子で違う初節句の意味
桃の節句(3月3日):女の子の健やかな成長を願う
3月3日の桃の節句は、女の子の初節句としてよく知られています。
雛人形を飾り、桃の花やちらし寿司、はまぐりのお吸い物などを用意してお祝いするご家庭が多いと思います。
桃の花は、古くから「魔除けの力を持つ」と考えられてきました。
また、はまぐりは「ぴったりと合う貝殻は一組だけ」ということから、「良縁」「夫婦円満」の象徴とも言われています。
雛人形の優雅な姿には、「将来この子がしあわせな大人になりますように」という願いが込められていると私は感じています。
端午の節句(5月5日):男の子の強さと健康を願う
5月5日の端午の節句は、男の子の強さと健やかな成長を願う日です。
こいのぼりを立て、兜や鎧を飾り、柏餅やちまきをいただく習慣があります。
兜や鎧は、かつて武士が自分の身を守るために身につけていたもの。
そこから「大切な我が子の身を守ってほしい」という願いが重なり、端午の節句の象徴になったとされています。
雛人形・五月人形に込められた願い
雛人形や五月人形は、高価なものでなくても構わないと私は思います。
大切なのは「この子のために選んだ」という事実と、そのときの想いです。
お客様の中には、「スペースがないので小さな飾りだけ」という方もいらっしゃいますが、そのぶん衣装や写真で華やかさを出すという選び方も増えています。
人形と衣装、どちらを重視するかはご家庭の価値観でよいですし、無理のない形で「願いを形にする」ことが大切だと感じます。
初節句はいつ祝う?生まれた時期別の考え方
生後1年以内に行うケース
一般的には、「生まれて初めて迎える節句」が初節句とされています。
たとえば、1月生まれの女の子なら、その年の3月3日が初節句になります。
体調や生活リズムが安定していれば、生後数か月のうちに初節句を行うのも良いと思います。
この時期の赤ちゃんはまだ眠ってしまうことも多いですが、そのあどけない姿も含めて、後から写真を見返したときに温かい気持ちになるご家族が多いです。
翌年に行うケース(無理しない判断基準)
一方で、出産直後でご家族の生活が落ち着いていない場合や、赤ちゃんの体調が心配な場合は、翌年に初節句を行うケースもよくあります。
私は、「赤ちゃんとご家族の負担が少ないタイミングを優先する方が、良い思い出になりやすい」と考えています。
無理に“その年のうちに”とこだわらず、「家族みんなが笑顔で迎えられる日」を選んでいただくのが一番だと思います。
日程の柔軟な決め方と一般的なマナー
多くのご家庭では、節句当日か、その前後の週末に初節句のお祝いをされています。
ご両家の予定や赤ちゃんの機嫌の良い時間帯などを考えながら決めると安心です。
形式的に「この日でないといけない」という厳格な決まりは、現代ではそれほど重く考えなくて良いと感じています。
ご家族が集まりやすく、無理のない日程で、「この日を初節句の記念日にしよう」と決めていただければ十分だと思います。
初節句はどう過ごす?当日の流れと準備
自宅でのお祝い
初節句のお祝いは、ご自宅で行うことが多いです。
雛人形や五月人形、こいのぼりを飾り、ささやかなごちそうを用意して、家族で赤ちゃんを囲みます。
私は、お祝いの規模にこだわる必要はなく、「赤ちゃんのペースを大切にする」ことを何よりおすすめしています。
授乳やお昼寝のタイミングに合わせて、無理のない範囲で進めていくと、穏やかな一日になりやすいと感じます。
家族写真・記念撮影を残すタイミング
初節句の日は、写真をたくさん残しておくと、後々とても良い記念になります。
おすすめなのは、
- 赤ちゃんがご機嫌な午前中に、家族写真やきちんとしたショットを撮る
- 午後は赤ちゃんのペースに合わせて、自然な表情や寝顔を撮る
という流れです。
私は、お客様には「1枚だけ“きちんと写真”を撮るつもりで、あとは気楽に撮ってくださいね」とお話ししています。
そうすると、ご家族の表情も柔らかくなり、アルバムにしたときに温かみのある写真が並ぶことが多いです。
お料理と定番の祝いご飯
桃の節句なら、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物、菱餅やひなあられ。
端午の節句なら、柏餅やちまきなどが定番です。
すべて手作りにしなくてはいけないわけではなく、最近はお惣菜やケータリングを上手に活用される方も増えています。
「無理なく、でも少しだけ特別感を出す」くらいの気持ちで、ご家族が楽しめるメニューを選ぶとちょうど良いと感じます。
祖父母への案内とお祝い返し
初節句にあわせて、祖父母をご自宅に招かれる方も多いです。
その場合は、
- 日程を早めに共有する
- 当日の食事と、どの程度の準備をするかを簡単に相談しておく
だけでも、当日の負担がぐっと減ると思います。
お祝いをいただいた場合のお返し(内祝い)は、一般的には「いただいた金額の3分の1〜半額程度」を目安にされています。
赤ちゃんの名前入りのお菓子や、写真入りのカードを添えると、気持ちが伝わりやすいと感じます。
初節句の衣装の選び方(写真映え・着心地で選ぶ)
祝い着・被布・袴風衣装など種類
初節句の衣装には、いくつかの種類があります。
- 伝統的な祝い着(産着を華やかにしたもの)
- 被布付きの和装セット
- 袴風のロンパース
- ドレス風・タキシード風のフォーマルウェア
私自身は、「ご家族の好み」と「赤ちゃんの着心地」のバランスで選ぶのが一番だと思っています。
和の雰囲気をしっかり残したいなら祝い着や被布セット、動きやすさを重視したいなら袴風ロンパースも人気です。
赤ちゃんの負担が少ない衣装の選び方
赤ちゃんは長時間、同じ姿勢でいると疲れてしまいます。
そのため、初節句の衣装選びでは、
- 生地がやわらかく、肌あたりが良いか
- サイズに余裕があり、締め付けが強すぎないか
- 着せ替えがしやすいか
といった点を重視すると安心です。
お客様からのご相談でも、「見た目だけで選ぶと、当日が大変でした」という声を聞くことがあります。
私は、必ず「赤ちゃんが笑顔でいられる衣装かどうか」を一緒に確認するようにしています。
写真に残る“柄の見え方”も大切
初節句は、写真にしっかり残したい行事でもあります。
その意味では、「柄の出方」も衣装選びのポイントだと感じます。
座って抱っこしたとき、うつ伏せになったとき、家族写真を撮るとき。
どの角度で撮っても、赤ちゃんの顔まわりや上半身にきれいに柄が出るデザインだと、写真映えしやすいです。
柄の意味にも注目すると、より特別な一着になります。
- 鶴:長寿
- 亀:延命長寿
- まり:円満・成長
- 松竹梅:不老長寿・おめでたさ
など、願いを込めて選べるモチーフがたくさんあります。
ネットレンタルなら種類・価格を比較しやすい
最近は、初節句の衣装をネットレンタルで用意されるご家庭もとても増えています。
私も、忙しいご家族には一つの選択肢としておすすめすることが多いです。
ネットレンタルの良さは、
- 多くのデザインを、写真で見比べながら選べる
- 価格帯やセット内容を比較しやすい
- 必要な期間だけ借りられるので、保管場所に悩まない
といった点にあると思います。
特に、初節句用の衣装をまとめた「カテゴリーページ」があるサイトでは、
男の子用・女の子用・サイズ別・色別などで探しやすく、「こんな雰囲気がいいな」というイメージ作りにも役立ちます。
まずは、こうしたオンラインの衣装ページを眺めてみて、
「自分たちらしい初節句の形」をイメージしてみるのも良いのではないかと感じます。
よくある質問(初節句の疑問まとめ)
誰が祝う?祖父母は呼ぶべき?
初節句は、必ず祖父母を呼ばなければいけないという決まりはありません。
ご両家の距離やご関係、ご家族の体調などを考えて、
- 核家族だけでお祝いする
- どちらかの祖父母だけを招く
- 後日、写真やアルバムを見せながら報告する
といった形でも十分だと思います。
私自身は、「無理のない形で、それぞれの家族のスタイルに合ったお祝いをすれば良い」と考えています。
お祝い返しは必要?
お祝いのお金や品物をいただいた場合、一般的には「内祝い」としてお返しをすることが多いです。
目安としては、「いただいた金額の3分の1〜半額程度」とされることが多いですが、地域やご家庭の慣習にもよります。
赤ちゃんの名前入りのお菓子やタオル、写真付きのカードなどは、気持ちが伝わりやすく、喜ばれやすいと感じます。
人形は誰が買う?
昔は「雛人形は母方の祖父母が用意する」という考え方もありましたが、
今では、ご両親が選んだり、ご家族で相談して決めるケースが増えています。
スペースや予算の問題もありますので、
- 大きな段飾りではなく、コンパクトなセットにする
- 人形は最小限にして、衣装や写真に重きを置く
という選び方も十分にありだと思います。
衣装は買う?借りる?どう選ぶ?
衣装を購入するか、レンタルにするかについても、正解は一つではありません。
- きょうだいで何度も着たい → 購入
- 初節句と写真撮影の一度きり → レンタル
- いろいろなデザインから選びたい → レンタル
- 手元に記念として残したい → 購入
といったように、ご家庭の希望に合わせて選ぶと良いと思います。
私は、「まずはどんな衣装があるかを知ること」がスタートだと感じています。
そのうえで、予算や頻度、保管スペースなどを考えながら決めていくと、納得のいく選択になりやすいです。
まとめ:初節句は“家族の願いを形にする日”
なぜ初節句を祝うのか。
それは、赤ちゃんの健やかな成長を願い、家族の感謝と祈りを形にするためだと私は思います。
着物や人形、飾りや料理には、それぞれ意味や願いが込められています。
でも一番大切なのは、「この子のために、どんな一日にしてあげたいか」というご家族の気持ちです。
忙しい毎日の中で、初節句の準備は負担に感じてしまうこともあるかもしれません。
そんなときは、まずオンラインの初節句用衣装のページを開いて、
「どんな色が似合いそうかな」「どんな柄にどんな願いを込めようかな」と、少しだけ未来の我が子の姿を想像してみてください。
気に入った一着と出会えたとき、初節句のイメージがぐっと具体的になり、
「この日のために準備して良かった」と感じられるはずです。
初節句が、赤ちゃんにとっても、ご家族にとっても、
心に残るあたたかな一日になりますように。
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